明日死ぬから僕は笑っている

 
僕ばっかり気にかけてるみたいだよ。
みんなが僕のこと正直だって言う。
まるでいつも素直みたいに。
まるでいつも本音を言えてるみたいに。
まるで何も我慢してないみたいに。
傷ついていないみたいに。
だけど僕だってただの人間なんだよ。
いつも他人に気を使って気を使って疲れ果ててるのは僕の方だよ。
ふざけるな。

優しいひとになりなさいって。
中途半端にクズな君が、一人前のクズを気取って己を過小評価してる。
なんて厭味だろう。
そんな君が優しいひとになりなさいって。
僕はならない。ならないよ。君の前では優しくなれない。
だって君は僕が首を吊ろうとした時そのドアを叩いてくれたかい?

ふと見上げたら空の青。
みずみずしい空の水色は、笑顔の色に似ている。
その青を見て
明日死ぬから僕は笑っている。
心のそこから笑っている。

内蔵の奥から力が湧いて、
腕を大きく振って、地面を蹴った。
世界が揺れる。
風が当たる。
僕は走りだした。
すがすがしい朝。

明日死ぬから僕は笑っている。






-アルフレッド-


※アルフレッドというのは作者の中にいる架空の人物です。実在の人物とは一切関係ありません。


道徳という言葉では生ぬるいものを


規則って何?
そんなものに縛られた創造はしたくない。
世間体って何?
そんなものに縛られた創造はしたくない。

ただ、自分の手の届く範囲なら
自分が納得できるなら
誰かを傷つけないように考えるのを
蔑ろにはしたくない。

でもそれって規則とか世間体とかとはまた別次元の話だよね。


…ひたすら音楽を流すしかできない時間のやるせなさ。
下書きのままの日記を書き終えることすらできてなかった。

「甘えてもいいよ」「頼ってもいいよ」
と、いくら言われても。結局、
「甘えるな」「頼るな」「ひとりで生きろ」
と言われる。
言われる前に強いられる。
生きていかなければいけない世界だ。
そうだ、この世界は冷たくて、私が思っているよりずっとずっと残酷だ。
そんなエラーのような規則や世間体が支配している世の中。
だから音楽すらうけつけない時間をつれて来ないようにどこかに飛び出さなければ。

傷つけ合うことがデフォルトの世界だなんて思いたくない。
そんな世界では生きていけない。
だから規則とか世間体とか音楽を受け付けない時間よりも
もっと前のところ
核の奥にあるはずの
道徳という言葉では生ぬるいものを
携えて、掲げて
飛び出していくほか、ないのだ。
きっと、私は、そうすることでしか
この世に居る意味を見出せないのだ。
わざわざ、まだ、この世に、居る意味を。




手紙を書き続ける


私が書き続けているのは全部
宛名の無い手紙だ。

 
…感情を感じるのがこわくって
だいすきなアーティストのアルバムさえ
ずっと買えずにいた。

好きなんて感情は信頼できない。
あいつはいつ裏切るかわかったものじゃないから。
信用なんてできない。

たとえばあいつは目の前にいるひとりの友人よりも
遠くにいる大勢を救うことに喜びを感じるみたいだし。

たとえばあいつは自分の痛みを一方的に解消してもらえただけで
まるでなんでもお互いが分かり合えたみたいな顔するし。

嫉妬、僻み、劣等感、孤独、虚無、愛しさ、楽しさ、
独占欲と乖離欲という共存できないふたつが同じ場所にある。
黒い黒いものがまた落ちてくる。
いやだいやだ。
わたしは誰に何を打ち明けたらいいのかわからない。
繰り返すのは大好きすぎるあんな歌やそんな歌の一節ばかりだ。

いつだったか、私の作品を見て、
「きっとあなたはいい人すぎるんだね。」
と言ったあのひとは、いま何をしているんだろう。

いい人? 私の作品の、何を見て? どこを見て?
いい人? いい人? いい人って何? 

言葉だけ置いて行って、そのひとはそれ以上
私の何にも触れようとはしなかった。


「いい人って、言われたって、どうでもいいひとみたい」


ああまただ。
またこの感覚。

浜崎あゆみさんの、あの歌の一説が、
どしゃぶりの前の、最初の一滴みたいにぽつりと降ってきた。

ああ、そういうことか。

妙にストンと、その言葉が心に馴染んでしまった。
馴染んでしまったんだよ。あの日からずっと。

ずっとずっとここにある。
ずっとずっとここにある。
これを、これを、あとどれくらい持ち続けたらいい?
もう何年。
あと何年。

どうでもいい。 
どうでもいい。 
わたしもキミも
この世界にとってはどうでもいい。
いても、いなくても、どうでもいい人。
そうだ、全部どうでもいいんだ。
この世界にあるもの、こと、全部どうでもいい。

そうして、もうどうでもいいやと
勢いでアルバムを買ってみたら、
わたしは未だにその歌や声やメロディを
すきなままだったんだよ。
ほんと笑えちゃうよね。

まるでタイトルやジャケットイメージとのギャップを楽しむかのように
たくさん詰め込まれた悲しさや孤独みたいなもの。
それらは私が今抱えてる
この何かを前に前に押し出すように連動する。
音楽はずるいよね。
浜崎あゆみさんはどんな気持ちで、あの歌の歌詞を書いたんだろう。
あんな、ひたすら前向きで、前向きで、前向きな歌の中に
紛れ込んでる虚しさ。
あれは、これは、私がいま感じている感情に、近いものなんだろうか。
それとも、まるで見当違いの、遠い遠いものなんだろうか。

わからない。
わからない。
他人の気持ちなんてわからない。
自分の気持ちだってわからないのに。
わかってあげられないのも
わかってもらえないのも寂しすぎるから、
だから人と関わるのはとてもこわい。
でも、本当はわかりたいし、わかってほしい。 
私は、わかりたいし、わかってほしい。
でもそれが難しいから、人と深くつながるのは難しい。

だから音楽を聴くのかもしれない。
だから絵を観るのかもしれない。
だから詩を読むのかもしれない。
だから
深く繋がらないからこそ、深く寄り添えるものに。

私は…
もうずっと書きつづけてる、描きつづけてる…
宛名の無いこれらの手紙に、
いつか宛名を書ける日がくるんでしょうか。

あなたの名前を、宛名と呼んでもいいのでしょうか。
あなたに送れるんでしょうか。




どうしてそんなことするのって


どうしてそんなこと聞くの
どうして傷つけるのって
どうして死ぬのって

それすら解ってもらえない悲しさが
解らないか

そうだよね
何を言っても伝わらないよね
誰かと終わりのない話をしたってしょうがない
どんなに叫んでも喚いても
冷静さを失わない受話器の向こうの声や
相槌のない間さえもが悔しくて虚しかった
大事にされてるのは
私よりも世間体と相手の立場なんだ
そりゃそうか そうだよね
結局自分のことしか考えてないのは
いつも私の方だもんね
そういうことにされるもんね
そんなこと解ってるよ

そうだよね
私が何を言っても伝わらないよね伝わらない
何を言っても何を書いても何を描いても
叫んでも喚いても泣いても怒鳴っても
伝わらないよね
どうしたら解ってもらえるだろう
どうしたらこの助けてが伝わるだろう
どうしたらこの気持ちを知らしめることができるだろう

人は事が起こってからじゃないと気づけないか
失ってからじゃないと解らないか
傷つければ解るか
死ねば解るか
殺せば解るか
自分や他人を傷つけることでしか助けを求められない悲しさが
おまえに解るか
命や心を粗末にすることが最強の助けてになってるこの矛盾は何
そんな悲しさがおまえに解るか

おまえに

どうして傷つけるのって
どうして死ぬのって
人は、事が起こらなきゃ、解らないでしょう
事が起こらなきゃ

そんな悲しさも
解らないか

解らないか



自分という病気を抱えて生まれてきました


ときどき降って来るどす黒いもの
わけのわからない黒くて丸いもの
それが大事な大事な気持ちの邪魔をする
自分が自分の邪魔をする
自分という病気

日常のあらゆるタイミングがつかめない
頭はざわつくし
食べ物を飲み込む音や咀嚼音
そんなひとつひとつが
まるで化け物みたいで

他人に言ったら笑われちゃうような理由で
床の上で死んだふりをするしかできなくなるくらい
言葉ひとつで、一日を無駄にできるくらい
行動ひとつ、結果ひとつ、原因ひとつで、
どうして涙が出るのかな

夜が明けても目が覚めない朝はあるし
日が暮れてもめいっぱい瞳を開けて
きらきらした星を映せる夜はあるし
雨が降ってても水たまりで
楽しそうに遊ぶ子供たちはいるし
雨が止んでも傘がなくて
ずぶ濡れになった後だったら意味がない

昔からよく聞く
人生を語ったような
自然を持ち出した例え話は
子供の頃から好きじゃないし
あてにしてない

傷つけば傷つくほど
優しくも強くもなれる
なんてのも嘘ばっかりだ
時間が経てば経つほどに
もっとやわになっているよ
傷つけば傷つくほどに
もっと脆くなっているよ

あの黒くて丸いものは
きっと自分の欠片
どんどんどんどん
黒さを増して
そうして無敵の人は
できあるのだろう

健常者・障害者
なんて社会は区切るけど
誰もがうまれたときから
皆、病気だ




日々カミングアウト。そして起動修正。




自分にとっての正しさが

他人にとっての間違いばかり起こして

真っ白な世界に黒を垂らせば

私は日々がカミングアウト

その度に頭の中に切り傷が増えて

だけど具現化なんかしない

私はもう、その魔法は使いたくない

代わりの魔法を今は知ってるから
 




雪解け前


薄暗い道を照らすのは
冷たくても真っ白な
雪だったりもする

妖精さんの贈り物
それとも、ホレおばさんが
ふとんを叩いているのかな

そんな真綿のような優しさで降る様を見て
ああ私の感情や現状やあれやこれやも
こんなふうにしんしんと、しんしんと、
雪のようにただ積もって解けていけばいいと
そっと思った朝5時の冬

早くあたたかい季節になってほしい
と思う気持ちと
このまま時間が止まってしまわないかな
と思う気持ちが静かに悶着する

携帯の充電きれるビープ音
自分の心臓の音だったらいいのにって
もう何度思ったかな

ちょっと生まれ変わったような気になれても
やっぱりわたしはわたしなわたしで
今日も今日とてわたしをやるしかない

相変わらず机にむかうと色んな過去が頭をよぎって
同時に大事な思い出を思い出せたりもするから
机はやっぱりおもちゃ箱なんでしょう

ただそこにいて輝くべくして輝いてる
そのひとの「今まで」があること
休むことさえ
生きるのに必死な行動のひとつでしかない
この世の「今まで」があること

ただしんしんと積りに積もってしまったもの
きれいに解ける日を



生まれた日を忘れさせてくれる神聖さ


都会でもこんなに紅いのかと思わせてくれた
お台場の夕陽。
生まれた日のことを忘れる神聖さで圧倒させてくれる 
神聖かまってちゃんのライブを見終わったあの帰り道。

誰もいない夜のお台場の橋のど真ん中を歩いてみた。
前後左右。誰もいないのに、猛々しい建物が並ぶ夜のお台場。
広すぎて、広すぎて、すがすがしくて、寒さも忘れて
観覧車のイルミネーションから目を逸らすのが名残惜しくて
後ろ向きに歩いたら、歩きにくかった。
でもね、後ろ向きでも前に進めるんだって気づいたよ。
歩きにくい変わりに綺麗な景色があった。
後ろ向きでも、前に進めたよ。

いま、朝の日差しがまぶしいです。
あのライブの天国みたいなライティングを思い出しました。

あれは太陽だって知ってる。
あれは暗くなった世界を照らしてはくれないって知ってる。
こっちを向いて照らしてくれてるような気がするけど本当はそうじゃないことも知ってる。

それでも。
日差しで重い体を起こせる自分がいるなら、日常をステージと呼んでやろう。
そこに大事なことがあるなら。
わたしは自分のステージに戻っていこう。

穏やかさ91%の中に
虚しさ1%、希死念慮8%
たぶんそのくらい。
そのくらいの、パーセンテージが
揺れる、揺れる、日々をまた。