電気信号とリアルとアート


「あの子たちを傷つけないで」と叫べば
嘲笑されたり溜息つかれたりする。
平和のはりぼてを塗りたくったような日常で
痛みをないことにされてきた存在たちの
フラッシュバックが静かに起こる。

こういう訴え方しかできない。
ポエムとかロックとか
良くも悪くもオブラートとか
そんな様でしか居られなくて。
でもときどき我慢できなくて。

そんな良くも悪くもオブラートで
ポエムとかロックとか簡単に
簡単に簡単にカテゴリで括られるその中に
真意を見出してくれるあなたがアナタが
貴方が尊すぎるのは、仕方ないじゃないか。

現実は変わっていない。
今日も空は青くて灰色で
笑顔と搾取と暴力があって
それに反してうねるように変わってく。
私の憂うつは安心は
あの絵は音楽はこの心は
この脳みそが創り出してる妄想だ。
ぜんぶ電気信号の影響だ。

でもその電気信号がリアルになって
届く場所があるなら
まだここに居る意味はあるのかな。

あの絵や音楽やその心が
君の言葉が、声が
電気信号に乗って
ここまで届いたのと同じように

掲げる平和の意図とか理想とか
迎合したくないディストピアとか
思い描くユートピアとか
「アート」で終わってしまいがちなこれらを
アートで終わらせないでいてくれる存在。
そんな電波が繋がり合って
きれいな電光石火でも起こせたら
暴力のコードもショートさせられるだろうか。

そのときまでは
ときどき懐かしい音楽に
想い重ねて委ねては
またこうして落とし所のない状態を
電波に乗せてしまったり
するのだと思います。


ユートピアの台本


人とどう関わっていったらいいかわからない。
会話用の台本がほしい。
ユートピアに最短で辿り着ける台本がほしい。

告白すると、私は絵を描くよりも
歌ったり朗読することの方が好きで。
うまいヘタは、置いておいて。
長時間続けていられるのは
圧倒的に声を使った作品で。
2時間で疲れてしまう作画も
歌なら8時間一人でぶっ通しで歌っていられた。

言葉から垣間見える人となりを、音にしてみたい。
自分の声なんて嫌いだった。
でも気づいたら叫ぶようになっていた。
それは同じように叫んでいた。
あの子や君のおかげで見つけた
表現方法だったりするんだよ。

あぁそうか叫んでいいんだって思った。
作品のために作った漫画のキャラクターとしてではなくて
私は私として言葉にして声に出していいんだと思えた。

人とどう話したらいいかわからないから
朗読という形で思いを語るしか
世界との繋がり方がわからない。
休み時間、クラスメイトに
何を話しかけたらいいかわからないから
ずっと絵を描いていたあの頃から変わっていない。

どんなふうに伝えることがいいのか
そもそも伝える必要なんかあるのか
未だに迷うときもある。
迷いながらも発さずにはいられない。
それが答えなのかもしれないけれど。

存在の証明や
自分が大切にされるために
大切な存在が大切にされるために
訴える仕方はたくさんある。
その形態を一つに絞れないことは
きっと悪いことじゃないと思う。

たとえば、声を出すことすら苦しいときは
またペンを握ったりするんだと思う。
それも苦しくなったら
ただじっとしたりもするんだと思う。

差別や公平や戦争や平和や
ときどき追いついてくる
自分の加害や被害の過去について
ずっとぐるぐるぐる考えて考えて
考えすぎないでって言い聞かせても
そういうときって
でも、きっと考えていたいんだよ。
切り替えたくなんてないときもあるんだよ。
ぐるぐるぐる考えて考えて
いっそ疲れて何もできなくなりたいとき
アドリブとか利かないから
人生の台本がほしい。

けれど、どんなに願ってもそんなものなくて
いざ「これが台本です」って渡されたとして
既存の「常識」が根底に敷かれただけのそれなら
くそくらえとか思ってたぶんどうせ
投げ捨てるんだろうとか予想してしまう私は
だから自分で創っていくしか。

書いたり描いたり歌ったり詠ったりする
穏やかな日々を求めて叶え続けることを
謳い続けていたい。

時になんにもしなくなりながら。
時になんでもしたくなりながら。

そういう人が無理に人と繋がらなくても
無理に一人にならなくても
気がねなく安心して暮らせるような
そんな世界を創っていたいんだ



線を重ねて「正」を観る、青を重ねて空を観る


「正義」という言葉が
単に悪を叩き潰し
“手段を選ばず”排除する
というイメージに奪われたのは
いつからだったろう
 
お腹を空かせた子供に
食べ物を分け与えるお話だった
アンパンマンもいつからか
バイキンマンにパンチする画ばかり
思い出されるようになった
 
透明な特権性にあぐらをかかれた
社会正義という名の公正さや公平ささえも
粉々になって分離して、そのくせ
十人十色だけは絶対的価値で
 
「人それぞれ」に守られた加害性が
今日も誰かを踏みつぶす。
 

「正」の字を書いて人の数を数えてみる
この縦線と横線の数だけ想いがあるという
 
だけど
  
「自由」の意図を
道徳の根本原理が関わる物事にまで
適用しないでくれ
「無責任な自由」にしないでくれ
そんなの自由への風評被害だ
 
たとえ相手を傷つける仕事でも
愛し慈しみ“大切に”世話した末に
本来の寿命よりもはるかに早く
殺すような仕事でも
 
「やってもらってるんだから」
文句は言えない
文句を言うな
源泉は、「苦労は美徳」精神でしょうか
 
なんでもかんでも
「人それぞれ」を持ち出して
なんにも考えずに変わらなくていい自分を
正当化させるようになった始末
 
私たち、歴史のテンプレートを
なぞることしかできないなら
あとどれくらい繰り返せば
時代は変わり切るのかな
 
道徳にさえクオリアがあるなら
時代とか文化とかいう概念さえもいらない
静かな宇宙船で、それこそひとり
漂っていたい
そこでなら、ずっとずっと、
海月でいても確かに許されるだろう
 
 
夕闇に、溶けそうな頭と
薄い青を重ねて
薄い青を重ねて
染めたような窓の外に
 
どうか憂いのために楽しさを奪われないで
世界の美しい部分を忘れないでいて、と
 
視界に届く声を感じたから
 
また一日を
どうか、なんとか



インタビュー


言葉の切れ端を
そっと詰めておけるビンがほしいな
 
昇華しきれない想いが
焼け残った新聞紙の
端切れみたいに 燻る夜
 
炭を敷き詰めたみたいな
ムラのある暗闇にただ
委ねるしかなかったりする
 
この炭の色に似合う音楽はどれかな、なんて
youtube開いたりするよね
 
 
新しい何かが手を伸ばして
羽を与えてくれようとしてるのに
 
思い出が、そうあっちからは
見向きもしてくれない思い出が
足を引っ張るよ
 
やめて、って言えば言うほど
離してくれないよ
 
灰になり切れなかった黒さが
燻る夜
 
たとえばあなたは どうして生きていますか
たとえばあなたは どうして生きていますか
たとえばわたしは 時間が通り過ぎるのを待つしかない
 
それがとても寂しくてつらいから
あなたは?あなたは、あなたはどうやって
生きてるの
こんなときどうしてるの?って
聞いてまわりたくなる
心象は街頭インタビュー
 
たとえばあなたは




感謝の先



私がほんとうにありがとうって言いたかったのは
自分や誰かの苦痛の上に成り立つ生存や快楽なんかじゃなかったよ。
 
戦争、いじめ、虐待、犯罪、差別、迫害、搾取…

暴力を、辿って、辿って、辿って行ったら

食があった。
ファッションがあった。
ショップがあった。
実験があった。
娯楽があった。
 
残酷さは生きるために必要なことで
仕方のないことだ。

そう教えられてきた。
鵜呑みにしてきた。
思い込んでいた。
あたりまえになってしまっていた。
普通になってしまっていた。
 
だからこそ、そんな世界では
私はもうこれ以上、生きていけないと思っていた。
生きていたくないと思っていた。
そんなことがあたりまえの世界で、長生きしたいとは、思えなかった。
 
ある日、
残酷さは必須ではないことを知った。
 
肉を食べなくても
卵を食べなくても
牛乳を飲まなくても
生きていける体だったことを知った。
仕方ないなんて嘘だった。
 
私の生きていた世界が
ほんとうは、もともとは
そういう世界だったなら
そこに帰っていけるなら
生きていける気がした。
 
だから、私は
そういう生き方を選んでいたいの。
私は私が、生きたいと思える世界にベットしたいの。
生きるなら、誰もが平穏で、楽しい世界で生きていたいの。
 
犠牲はいらない。
悲しくなるから。
何も楽しめなくなるから。
心から楽しめること楽しみたい。

犠牲者の事を思って悲しくなる隙なんて
ないものを選んで笑っていたい。
私はそうやって生きていきたい。
 
完璧だとは言わない。
でもなるべく、なるべく
安心できる世界に繋がるような
そんなことを選択していきたい。
 
暴力の連鎖の、最初の点の、ひとつを
今から断つことができるなら
それは希望だ。
これなら生きていけるかもって
私にとっては希望なんだ。
動物たちの希望になることが
人間である私にとっても希望なんだ。
 
だから、だからね、
 
こんな世界なら生きられると
あなたのような人がいる世界なら
まだ生きられると
思わせてくれる存在に
 
ありがとう。




妖精のつぶやき



 

ソネングラスに閉じ込めた
 

祈りのような装飾を照らす


ランプの灯りは愛力エネルギー
 

取り外し簡単な 羽根がほしいな
 

祈りと叫びはよく似てるでしょ
 

鏡の中のおさげが微笑う
 

ランプの灯りは愛力エネルギー
 

ソネングラスに閉じ込めないで


取り外し可能な羽でどこまでも