春が終わる、夏がくる。


アパートからコンビニまでの道のり

かかるフィルター
ぼやける視界
淡い笑顔

君との時間は全てがまるで5月の夢

だったのに。


なんというか。
谷をなくしたら山もなくなっちゃうよ。
みたいのよく聞くけど、別にいいし平坦がいいし。
そんな、次にはアビスが待ってますよ
みたいなフリ的な山なら
いっそない方がいいし、結局つらいし、何より
谷がなくなってほしいし、
谷がなくなってほしいし、
谷がなくなってほしいし、
ただ穏やかに穏やかに穏やかに生きたいし、
つらいのやだし痛いのやだし苦しいのやだし、
平がいい平坦がいい平和でいたいなあああ。

怠けるなっていわないで。
甘えるなっていわないで。

コンビニが目の前のところまで来たのに横断歩道を渡る勇気がないから座り込む。

人に対する気持ちもそれ以外の大切なもの何もかもへの気持ちも、少女漫画の主人公の恋心みたいに真っ直ぐじゃないから葛藤する。リアルの感情。

正反対の二つ以上の気持ちが、一つしかない魂にあるから解らなくなる。
そんな自分はおかしいんじゃないかとまた解らなくなる。

どうしたらいい?どう思えばいい?
私の見る景色はみんなの見る景色と同じ?
私の聞く音はみんなが聞く音と同じ?
私はこれで大丈夫?変じゃない?
これは異常じゃない?これは普通?
じゃあこれは?これはどう?

がーっと強く湧いた気持ちは
忘れず書き残しておきたいのに。
1文字打つたびに消えていく気持ち。
正体があやふやなのに確実にここにある気持ち。
あえての漢字変換。あえてのひらがな。
書きこぼしてしまったかもしれない気持ち。

忘れるのが嫌だから書きたいのに
書こうとして鉛筆を握った瞬間
忘れていくあの感覚が悲しすぎるから書きたくない。

したいとしたくないが同じ強さで襲ってくるから結局どこにいっても苦しい。
私が私である限り苦しい。

自分っていう病気。
人生恐怖症。

今行けるだろってくらい
遠くに見える車にも恐怖する私は
横断歩道もうかうか渡れなくなる。

記憶はどうしたらいい?
知ってしまったことはどうしたらいい?
知らないことはどうすればいい?

疑問形ばっかりの頭に神聖かまってちゃんのフロントメモリーが響く。
「I LOVE YOUって英語で習ったんだっけ?」

春が終わる、夏がくる。
ちょっと降ってきた雨がそろそろ行きなよって言うからそろそろ行くね。




「元気でいてね」と「病んでもいいよ」の両方をくれる


嫌いな過去を物語るモノには近づきたくない。
目に映るもの全てへの思い出補正が強すぎて、モノそれ自体の価値をちゃんと見れてることなんてどれくらいあるんでしょうか。

近づきたくなくて噤むのに
そのくせ、いきなり心の奥のものを外に出したがる衝動には勝てない。

病んだ。なんてもううんざりで。
絶対幸せになりたいし、私は元気でいたい。笑っていたい。絶対そうなのに。
人って慣れない幸せでも吐き気が起こるものらしくて。

息切れを起こして走れなくなる瞬間がとても悲しいから、気持ちが走り過ぎないように、走り過ぎないように。
そうして思い出す、死にたかった朝が、未だにここにあります。

死にたいと思った瞬間苦しくなる
生きたいと思った瞬間不安になる。

しあわせで、ありたいなぁ。

だから、「元気でいてね」と「病んでもいいよ」の両方をくれる
君が、尊くて必要で仕方ないんだ。



解決したいわけじゃないという気持ちを解決したい気持ちを解決できない。


この間、本屋に行ったら、泣きわめく小さな子供がいた。
耳から脳へと貫く、キンとした尖った泣き声。
鼻とほっぺを真っ赤にして。
ふたつに結わえた柔らかそうな髪の毛を揺らして。
空に向かって小さな口を、一生懸命大きく開けて。

本当はさ、本当は、大人だって。
子供のあれくらい泣きわめきたかったり
暴れたりしたくなるくらいのものを
常日頃もってるんだよね。

だけど大人はそれができない。
だけど大人は、それができないんだ。

なんてことはない、ただただ、
そんなことを、ただ、ただ…
思ってしまいました。

心の中にある輪郭を、指でなぞるみたいに、確かめた。
でも、名前をつけられない。
こういう気持ちを、みんなはなんて呼んでるんだろう。
どうやって、折り合いをつけてるんだろう。
どうやって。

物事の解決を求めているわけじゃないこの気持ちを解決したいこの気持ちはどうやって解決したらいいんだろう。

本を持って、レジに向かった。
母から、「使っていいよ」と渡された図書券が財布から顔を覗かせてた。
端が少し毛羽立っていて、黄ばんだ図書券。
子どもの頃に、確か何かの奨励でもらったもの。
もうずっと昔に使い切っていたと思っていたのに、1枚だけ残ってた。
最後の1枚。
お金と一緒に置かれたその1枚を、店員さんが慣れた手つきで機械的にレジスターへ挟む。
今頃になってとうとう使い果たした。おかげで少し節約できた。

家に帰ったら本を読める嬉しさに、少し足を浮かせてレジを出た。
さっきまで駐車場で泣いていた女の子が、お母さんと一緒に店内にいるのが視界の端に入った。
私の前で開いた自動ドアが、外の冷気を連れて、背中を抜ける。

お母さんに手を引かれたあの女の子は、まだ、泣いていた。