書き損じ


君の象徴だった月も
ぼやけて霧になった
どんなに願っても届かない
やり直そうとすればするほど
此の醜さが照らされるだけ

もういいの
私もすぐにいなくなる
こんな仕組みで
大事なままでなどいられない

書き損じた人生 
いくら二重線を引いても
間違えた痕跡は消えない
うまく話せなかったこと
うまく黙れなかったこと
ねぇ どんな文字を書けばよかった
どう筆を折ればよかった

誠実さが違えたとき
心はぶつかるから
どう優しく手をかけても
また治ろうとすればするほど
致命傷が抉れ開くだけ

成り損ねた人生
いくら真意を伝えても
いつも誤謬を免れない
自分でわからないものを
他人がわかるはずもない
ねぇどう口を開けばよかった
どう口を噤めばよかった

書き損じた人生 
いくら日記を捨てても
重ねてきた過去は消せない
うまく笑えなかったこと
うまく泣けなかったこと
ねぇ どんな顔をすればよかった
どう息をすればよかった