赤い絵の具がなくなった。

 
ずっと日記を書いていなかった。

気づいたら私はこの間までとは違う部屋で過ごすようになっていて。
独りは寂しいけど、独りじゃなくなったところで全ての憂いがなくなるかというと決してそんなことはなくて。
むしろ新たな憂いが生まれたり。それでも独りになりたくなかったり。
人って環境が変わっても根っこはそうそう変わらないよなって思ったりする日々。
そもそも根本のこの星の環境が変わっていない。

心がまたがんじがらめになる予感に触れて衝動的に赤い絵の具に手を伸ばしてみた。

軽く手ぶくろ並みに厚い絵の具でベタベタの指でもタッチパネルは反応してくれるらしい。
それならこの手の体温はキャンバスにも伝わるのだろうか。

秩序もへったくれもない。
心はうねるのだ。自分ではどうしようもない力で。
アクリル絵の具にヒビが入る。
心も固まってしまったら些細な衝撃でヒビが入る。

赤い絵の具がなくなった。
些細なこと。
そんな些細なことなのだ。